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【個人インタビュー 002】ジェイさん&ケイトリンさん

2018年04月15日 19:03 by tabunka_tokai

日本大好き!アメリカ人牧師夫妻が見た日本

アメリカ人のグリア夫妻、夫ジェイさんと妻ケイトリンさんは、アメリカの大学で神学を専攻し、卒業後すぐの2009年、「日本で教会を設立する」という大きな夢を持ち、夫婦揃って来日しました。愛知県岡崎市内の語学学校で日本語を勉強し、昨年の12月に念願の「マスタードシードクリスチャン教会」を名古屋市中区に設立しました。毎週日曜日には様々な国籍の人が礼拝に集っています。

ケイトリンさんは昨年5月、異国の地で初めての出産を体験。その時に生まれたのが、現在1歳5カ月のローエン君です。ケイトリンさんは現在妊娠中で、来春には二人目の赤ちゃんを出産予定だそうです。「日本が大好きです!」と声を揃えるジェイさんとケイトリンさん。彼らの目に日本という国はどのように映っているのでしょうか。

(左:ジェイさん、中:ローエンくん、右:ケイトリンさん)

だれもが入りやすく、親しみやすい、多文化共生の場としての教会

「日本人は本当に礼儀正しいから大好き!」と、優しい笑顔で迎えてくれたグリア夫妻。中区鶴舞にあるダンススタジオの一角からは、軽やかなドラムの音や重みのあるベース音が聴こえてきます。その建物には十字架もなければ、ステンドグラスもありません。

「日本人は、教会をイメージする時、何か堅苦しいものだと考えていませんか。おごそかな雰囲気の建物は、何となく入りづらくありませんか。教会には難しい讃美歌が流れていて、静寂な空気に包まれていると考えるでしょう。"キリスト教”と聞くと、よその国の宗教だと思いますよね。そして"宗教”と聞くと、一般的に日本人のみなさんは怖いもの、危険なもの、怪しいものと考えているようですね」とジェイさん。続けてケイトリンさんは、「だからこそ、日本に設立する教会は老若男女関係なく、だれにとっても入りやすい建物であり身近な存在になれるようにしなくてはならないと、考えに考えた結果がこの教会です。そして、だれもが親しめる楽しい音楽も忘れてはいけません」と言います。なるほど、わたしたち日本人の持つ宗教に対するイメージを分析した結果として、だれにとってもオープンでカジュアルなこの教会が設立されたんですね。

夫妻にとっての次の大きな願いは、マスタードシード教会が名古屋地域の「多文化共生」の場所としても機能することだそうです。「いつも礼拝の後にはコーヒーとドーナッツを準備して、礼拝に来てくださったみなさんたちがお話できる場所を提供しています。ここでいろいろな人と友達となり、やがてはそれが多文化共生に繋がってくれることを願うばかりです。国籍の違う人たちが仲良く語り合う姿を見ると、大変嬉しく思います」と、ジェイさんは目を細め語ってくれました。

 

私たちの考える「日本」、「日本人」

「食事も健康的で、人々はみんな礼儀正しく、歴史も深く、四季の移り変わりも美しい。そんな日本が大好きです。日本の文学作品や芸術作品を鑑賞すると、日本人は"deep thinker”(深いところまで考えることのできる人)で、繊細な民族であることが伝わってきます」というジェイさん。一方で、「日本人は"外国人”=外の人、よそ者と考えているせいか、外国人との間に一定の距離を置いているような気がします」と。「街を歩いていて日本人と目線があっても、多くの人がすぐ目を反らしてしまいます。わたしの母国アメリカでは、見知らぬ者同士でも視線が合うとニッコリとほほ笑むことが結構あるのですが、日本人は恥ずかしがり屋さんが多いんですかね。笑顔で気分を害す人はいないのにね」と少し寂しそうに話してくれました。また、妻のケイトリンさんは「日本に来てすごく驚いたことがあります。日本の店のサービスは世界一素晴らしいものだと思います。どんな職業でも、みなさん責任を持って誠意ある仕事をされている姿を尊敬せずにはいられません。こんなにサービスやお店の人の対応が素晴らしい国は、きっと世界中探しても日本以外に見つからないのでは」と、日本のサービスのあり方を高く評価していました。

 

外国人パパ・ママの子育て奮闘記

出身国を離れて出産や子育てをすることは決して簡単なことではありません。言語も文化も違うところでの子育ては、苦労の連続です。二人が日本で一人息子のローエン君を育てる中で、感じたことを伺いました。

「先月、ようやく初めての"子ども手当て”をもらいました」とジェイさん。ケイトリンさんも「書類が難しくて、日本人の友達に何度も質問しました」と。さらに夫婦の共通の課題として"言葉の壁”を挙げました。せめて子どもの情報だけでもしっかり入手しようと思っても、そこには常に日本語の壁が立ちはだかります。パパ・ママ友達を作ろうとしても、コミュニケーションが上手く取れず、孤独感を感じることがあるそうです。「日本で暮らす以上、日本語を理解しなければいけないことはわかっていますが、日本語はとても難しく、子どもを病院に連れていったり、子どものための何か書類を揃えたりするのにも苦労が絶えないですし、不安で仕方ないです」と言う二人。国籍や日本語能力に関係なく、だれもが安心して子育てを行うためには、特に言語面でのサポートが必要とされていることを感じました。

ジェイさんは「子どもには日本人の友達もたくさん作ってほしいし、日本語も話せるようになってほしいです」と言います。ケイトリンさんも「息子は『どうも!』と言ってお辞儀をするし、『いないいないばぁ』と日本語で言うし、まるで日本人みたいです。将来が楽しみです」と。このときの二人の顔はすっかりパパ・ママになっていました。親が子どもを思う気持ちに変わりはない!と確信した瞬間でした。

 

日本人が多文化共生に必要なもの―勇気を持って声をかけて―

最後に、日本人が「多文化共生社会」を創っていくために何が必要かを伺いました。

とにかく声をかけて!街を歩いていると、わたしたちに興味や関心を持ってくれる人がいるようですが、ことばも通じないだろうし、外国人だから怖そうだしと、声かけをためらう人がたくさんいます。心配ご無用!いつでも気軽に声をかけてください!英語でも日本語でもanytime welcome!!(いつでもどうぞ)

 

「勇気を持っての一言」、これが多文化共生社会へのパスポートなのかもしれませんね。

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