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【団体インタビュー 005】美濃加茂華友会

2018年04月15日 19:06 by tabunka_tokai

東海地域は全国的にも外国人登録者が多く、特にブラジル人と中国人が多くを占めています。岐阜県美濃加茂市は総人口の8.8%が外国籍住民で、市では日本一高い割合です。こうした中、外国人と日本人が互いに協力して生きていく「多文化共生社会」がますます欠かせなくなってきています。

美濃加茂市を拠点に活動する美濃加茂華友会(みのかもかゆうかい)は、「地域で生活する中国人をはじめとする定住外国人が、元気に暮らしていけるようにすること」、「定住外国人を受け入れた地域をもっとよくすること」をミッションとして活動を行っています。中国人向けの相談窓口の設置、日本語・多言語講座、料理勉強会、情報誌やメールマガジン(以下、「メルマガ」)の発行、地域イベントへの参加など、その活動内容は多岐にわたります。今回は、ご自身も中国出身である代表の山田亜光(やまだ・あこう)さんにお話を伺いました。

 

(事務所でインタビューに応じてくれた山田さん)

中国人を救うため、美濃加茂華友会発足!

以前、美濃加茂市の多文化共生課で働いていた山田さん。当時は留学生や研修生、日本人と結婚した中国人のお嫁さんなどがよく相談に訪れていたそうです。美濃加茂市では約400人の中国人が暮らしていますが、中国人を支援するコミュニティはなかったといいます。それでは誰が彼らを救うのでしょうか。市からの後押しもあり、山田さんは2008年に美濃加茂華友会(以下、「華友会」)を立ち上げました。加茂郡在住者を中心に10人程度の会員でスタートしました。名古屋などの都会から離れた場所にあるということもあって、会員を増やすことは簡単ではありませんでしたが、団体情報誌の発行やメルマガの配信などの情報発信を活発に行い、現在では約40名に増えています。華友会の活動の多くは会員制で行われているため、山田さんは今後ももっと会員を増やし、活動に参加してもらいたいと言います。

お互いの文化を理解する

華友会には、在留資格に関する相談が増えてきていることから、行政書士による無料相談会を定期的に開いています。中国人の抱えている問題の中で最も多いのは、日本人と結婚した女性の家庭問題だそうです。旦那さんとのコミュニケーションの不和やDV(ドメスティック・バイオレンス)、子どもの教育、姑との関係などがあります。日本語が話せないことや日本料理が作れないことなど、言葉や文化の違いにより意思疎通ができずにトラブルが起こることもあると言います。過去には、日本に来たばかりで中国料理しか作れない中国人のお嫁さんのいる家庭から「嫁がいつも油っこいものばかりを作るのは姑の私へのいじめですか」と相談を受けたこともあったそうです。こうしたさまざまな問題を抱えているにもかかわらず、これまで相談できる場所がなくストレスが溜って、うつ状態になってしまうといったケースもありました。

実際に山田さんも日本に来てから、町内会や自治会のなどの独特な風習に戸惑ったそうです。日本の家庭に入ったからといって日本の風習に従わなければならないと考えるのではなく、「お互いの文化や習慣を理解したうえで生活すれば、日本人と外国人がもっと仲良くなれるんじゃないかな。日本人も彼女たちを理解して、日本のしきたりを教えてあげないといけない。お互いに理解を深めることが大切。日本人が当たり前だと思っていることが、中国人にはわからないのだから」と話してくれました。

(相談活動の様子) 

交流こそ多文化共生への第一歩

では、中国人が暮らしやすい地域とはどういう社会なのでしょうか。山田さんは、「相互理解」と「地域との連携・交流」が大切だと言います。中国人は日本語を話せないがために、日本人の友達をつくることや近所の人と交流を深めることが難しいです。その問題を解決するための一助として、華友会は市の料理講座やイベントに参加しています。日本語が話せなくても、料理を通じて地域の人々と交流することができるからです。「やっぱり交流は大事!コミュニケーションが取れないと差別や偏見がいつまで経ってもなくならない。日本人側も積極的に中国人の集まりに参加し、自ら進んで交流をもってほしい。交流を通じて、もっと文化や習慣を知ればうまく付き合える。中国人のいるところに入って初めて彼らのことがきちんと見えるようになると思う。中国人が求めているのは、日本人と同じように差別なく自分たちを地域に迎え入れてくれること。それが本当の意味の多文化共生じゃないかなと思います。」

 (中国料理講座には多くの参加者が)

新たな挑戦

これからの活動で新たに挑戦したいことを伺うと、山田さんは笑顔で「二つあります」と教えてくれました。一つ目は、地域に住んでいる外国人による多言語講座を開催すること。「地域に住んでいる外国人は、その地域にとっての財産だということに日本人は気付いていないんです。わざわざ海外に留学したり、高い学費を出して塾などに通ったりしなくても、身近なところで外国語が学べます。在住外国人の中には高い能力やスキルがある人もいるのに、日本語が通じないばかりに就ける仕事が限られてしまっています。多言語講座を通じて、『自分の能力を活かして地域の役に立つことができる』という自信をもってもらいたいです。そして日本人に、地域に外国人がいてよかったと認識してもらいたいんです。それが、地域の人と外国人との絆を深めることにつながります。」

二つ目は、外国人に自治会に加入してもらうこと。外国には「自治会」がないため仕組みがわからないことに加え、掃除当番などやることがたくさんで大変そうというイメージがあるため、加入しない外国人が多いそうです。しかし、自治会は地域にとってとても重要なものです。回覧板で生活に必要な情報を共有したり、震災等の非常時に互いに助け合うためにも近所とのつながりは日頃から大切にしなければなりません。華友会では、外国人にとっても参加しやすい自治会づくりをすすめていきます。

(地域のイベントでは、地元野菜を使った創作中華料理を販売)

いつでも気軽に来て欲しい

華友会の魅力について、山田さんは次のように話してくれました。「いちばんは、気楽に参加できる点ですね。中国人はわりと堅い集まりが苦手なので、時間がある時はいつでも参加でき、みんなでワイワイできるような団体でいたいと思います。例えば、日時をきっちり決めた『○○講座』などを計画しても、なかなか参加してくれません。自分の参加したい時に参加して、会員同士が仲良くなれればいいと思います。子どもがいるお母さんはママ友をつくることができ、子どもも遊び友達ができる。仕事がない人に、自分の仕事を紹介することもできる。気楽に自分のストレスを解消できる場所でありたいです」。

一方で、団体の今後については、「子どもの母国語(中国語)教育はこれからもやっていきたいですね。また、もっと日本人のボランティアもいたらいいなと思います。それらを解決するためには、もっとPRが必要です。TwitterやFacebookでもボランティア募集をしていきたいです。もちろん、行政の協力も必要です。多くの自治体では、まだ災害など緊急の際に外国語での放送がされません。そういう時にこそ多言語化をしてほしいと思います」と話してくれました。

 

日本人も外国人も同じ

最後に、山田さんの思い描く「多文化共生社会」とはどういったものなのかを尋ねました。「『日本人』と『外国人』という区別がなく、同じ地域の住民としてお互いを温かく迎え入れられるというのが一つの理想だと思うんです。外国人も地域に貢献しています。都市部から離れた地域では、若者が都会へ働きに行ってしまうので、地域の産業を支えているのは外国人です。定住する外国人も増えているので、近い将来、この地域の担い手となるのは外国人でしょう」。お互いに「あなたがいてくれてよかった」と思える関係づくりに向けて、今後も美濃加茂華友会は歩んでいきます。

 

*この記事は、2012年1月発行『たぶんか便り』第5号の記事を元にしています。本文内の情報はすべて、発行当時のものです。

 

美濃加茂華友会     

〒505-0044 岐阜県美濃加茂市加茂川町1-1-1 多文化交流センター内   URL:https://sites.google.com/a/kayuukai.com/www/          facebook:https://www.facebook.com/kayuukai.minokamo       twitter: @kayuukai 

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